2013年03月13日

母との日々 8



母が申し訳なさそうに言う。


「皆に迷惑かけてごめんね」


母が腹立たしそうに言う。


「なんでこんな体になってしまったんだろう」


母が恨めしそうに言う。


「元気なお義母さんが羨ましい」


母が悲しそうに言う。

「どうしたらいいんだろう」


そう、混乱が起こっているとはいえ
しっかりしている部分もまだまだあるんだ。


そして
我に返っては呟く。

「情けない、情けない」と。


私にはどうしてあげることも出来ない。

口から出る言葉は優しさよりも
激励しかなく


私も情けないよ。


そんな時、一人暮らしをしている息子から
携帯のLINEにメッセージが届いた。

「おばあちゃん、どう?」と。


その後の様子を知らせると

「明後日帰るわ」

おばあちゃんの事が気になるようだ。


息子は心優しく
感謝の言葉をスッと口に出来る子で

一般的に

思っていても言えない
妙に照れくさくて伝えられないのが多い中

息子はそうではないようで
「ありがとう」の言葉をよく使う。


帰ってきた息子は

「おぉ。おばあちゃん、どう元気?
病院にいてる時より元気そうやん。」

息子が帰ってくるということで
頑張ってしっかりしているフリの母。

息子の優しい問いかけに
母も本音が出るのだろう。

辛い気持ちを吐露された息子は
静かに聞いて

「うーん、そうか、辛いなぁ。」

少し考えるように息子は言う。

「昔、僕ら(娘や従兄弟)が小さかった頃、
よくおばあちゃんにプールに連れて行ってもらったよな。

今思えば、暑い中、
プールサイドでずっと待っててくれて
退屈あったと思うわ。

おばあちゃん、あの時はありがとうね。
おばあちゃんにしてもらったことは
僕、忘れへんで。」


家に来るまでの道中。

おばあちゃんとの事を
いろいろ思い出していたのか
息子はおばあちゃんへの感謝の気持ちを言った。

半日の滞在ではあったが
常におばあちゃんに気を配り
椅子に座ってるのが辛いと言えば
背中にクッションを入れてあげたりと
息子なりに大切にしてくれた事を嬉しく思う。


そして帰る前

「お母さんもあんまり無理すんなよ」

その一言、グッと来るよ。


あぁ、母よ。
どうか元気になって笑ってほしい。
皆がそれを願っている。




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Posted by tammy at 17:16 │母の病気